ベオルブの名を伏せ、傭兵として王女オヴェリアの護衛任務に就いたラムザ。しかし、王女を巡る誘拐事件の裏では、かつての親友ディリータが暗躍し、事態は混迷を極めていました。ドラクロワ枢機卿の裏切りと、人を異形へと変える聖石の真実。オヴェリアを使って戦争を煽る教会の意図はなにか。そしてついに勃発した「獅子戦争」。
ラムザは、情報の断片を繋ぎ合わせ、泥沼化する戦いを止めるべく再び戦火の中へと身を投じていきます。
獅子戦争の戦禍
獅子戦争の被害は甚大で、両軍合わせて40万人の死者を出してしまいます。ベスラ要塞でのゴルターナ陣営の軍議では、税金の減収や干ばつによる食糧難など、様々な問題が議題にあがっていました。将軍であるオルランドゥ伯爵は、戦争を続けるのは難しいとして和平交渉を勧めますが、ゴルターナ公は強硬な姿勢を崩しません。オルランドゥ伯は、この戦争に大義がないことが根本的な問題と指摘しますが、強行姿勢のゴルターナ公に反感を買ってしまいます。

オーランとの出会い
一方ラムザたちは、戦争をやめるよう兄たちを説得するため、王都ルザリアへ向かっていました。その道中、盗賊に追われている青年に遭遇し、これを助けます。彼はオーランと名乗り、ラムザに感謝の言葉を伝えると、握手を求めます。ルザリアへ向かうラムザたちとは目的地が異なるとして、二人は別れます。

兄に停戦を求めに行くラムザ
王都ルザリアに到着したラムザは、ザルバッグにオヴェリアの誘拐がダイスダーグの策略であったと訴えます。しかしザルバッグはそれを信じようとせず、兄を疑うラムザに怒りをぶつけます。そんな中、オルランドゥ伯爵が率いるゴルターナ軍が、満を持して攻勢に出たとの知らせが届いたのです。

兄の説得に失敗してルザリア城を後にするラムザでしたが、裏門に到着した時、思わぬ敵に遭遇します。グレバドス教会の異端審問官ザルモゥが、ラムザを捕らえにきたのです。その容疑は、ドラクロワ枢機卿暗殺と聖石を盗んだ罪でした。ルカヴィの存在を公にするわけにはいかないグレバドス教会は、ラムザを異端認定することで公に抹殺しにきたのです。
ラムザは一緒にいた妹のアルマと共闘し、ザルモゥを退けますが、どうやらザルモゥはルカヴィや聖石の力のことを知らないようでした。

ラムザが聖石に関与していると知ったアルマは、オーボンヌ修道院に聖石があるかもしれないことを伝えます。そして、聖石の情報と引き換えに、ラムザと行動を共にしたいと申し出ます。成り行きとはいえ、アルマもザルモゥに逆らったことは事実でした。その身の安全も考慮して、ラムザは渋々承諾します。

聖石の存在を確かめるべくオーボンヌ修道院へ
オーボンヌ修道院に向かったラムザたちは、地下書庫の1階で、何者かに襲われ傷ついた神学者のシモンを発見します。シモンは、グレバドス教会が「聖石ヴァルゴ」を奪いに侵入してきたと言います。そして教皇フューネラルが、戦争を煽ることで王家の信頼を失墜させ、漁夫の利を得ようとしているとラムザに伝えます。ラムザは、グレバドス教会こそが戦乱の元凶であると確信します。

シモンは、教会が欲しているのは求心力だけでなく、聖石の力そのものでもあるといいます。逆に、教会に聖石がわたりさえしなければ、ゾディアックブレイブの伝説を利用することも、ルカヴィの力を使うこともできなくなります。ラムザたちの目的は「教会に聖石を渡さない」ということに収斂されたのです。ラムザは傷ついたシモンと聖石(タウロス・スコーピオ)をアルマに預け、神殿騎士団を追うべく地下へ向かいます。

神殿騎士団を追って地下3階に到着したラムザたちは、神殿騎士のイズルードと対峙します。しかしイズルードは、ヴォルマルフの息子でありながら、聖石の力や陰謀のことは知らないようでした。あくまでグレバドス教会の理想が必要だと主張します。イズルードは、父親にまでその信仰心を利用されているのでした。ラムザたちはやむなくイズルードと戦い、それを退けます。

ウィーグラフとの再会
一方、シモンと共に地下一階に留まっていたアルマは、ひと足先に戻ったイズルードに連れ去られてしまいます。修道院に保管されていたヴァルゴ、そしてアルマの持っていた聖石(タウロスとスコーピオ)も同時に奪われてしまいました。地下一階に戻ったラムザたちは、そこで思わぬ人物に出会います。それは、かつて骸旅団のリーダーであったウィーグラフでした。

ラムザは、理想を捨ててグレバドス教会の一味となったウィーグラフを非難しますが、彼は現実の厳しさを訴えます。戦後は国に捨てられ、骸旅団は貴族に利用され、仲間からは裏切られ、そして妹を失った彼の言葉には異常な重みがあります。

どんな理想も力なくしては実現できないと悟ったウィーグラフは、「持つもの」になることこそが必要だと言い放ちます。ラムザは、理想は直接的な結果に期待するだけのものではないと反論します。

ウィーグラフは、妹であるミルウーダを手にかけたラムザに対し、怒りをあらわにして襲いかかります。猛烈な剣技で襲い来るウィーグラフでしたが、力及ばずラムザの前に倒れてしまいます。そして、その今際の際の言葉は、彼の持っていた聖石アリエスに呼応し、「力」を発動させます。

発動した力は、彼を「魔神ベリアス」へと変貌させます。ウィーグラフのやり場のない感情は、彼の理想を徐々に「力への渇望」に変えていったのです。ルカヴィの持つ圧倒的な力に酔いしれるウィーグラフは、身も心もベリアスに成り果てているようでした。聖石は、持ち主の強い欲望を糧として、ルカヴィを顕現させたのです。

ベリアスは高笑いの声を上げながら、ラムザの前から姿を消します。すると、満身創痍のシモンがラムザを追って姿を現します。そして、聖アジョラの弟子であるゲルモニークが記したとされる「ゲルモニーク聖典」をラムザに託します。ゲルモニーク聖典には、ゾディアックブレイブ伝説の真実が記されており、それは教会の教え自体が偽りであることの証明にもなるといいます。

神学者であるシモンは、その事実を知りながらも、保身のために公表しなかったことを悔います。教会にとっての弱みであるゲルモニーク聖典は、公開すれば教会の信頼を失墜させることができ、交渉材料にすればアルマを取り返すことができると言います。シモンはラムザに後を託すと、そのまま息絶えます。

ゲルモニーク聖典には、驚きの真実が記されていました。なんと、グレバドス教会が信仰する聖アジョラが「神の御子」などではなく、敵国から送られてきたスパイだというのです。そして、新興宗教の教祖として民を扇動していたアジョラを監視するために送られたのが、ゲルモニークでした。教会は、元々この地で信仰されていた「ゾディアックブレイブの伝説」とアジョラを結びつけ、神格化したのだと記されていました。

ゲルモニーク聖典との取引
オーボンヌ修道院を後にしたラムザは、道中で変わった風貌の魔導士と出会います。彼は、リオファネス城まで来れば、アルマとゲルモニーク聖典を交換するといいます。リオファネス城は、フォボハム領にあるバリンテン大公の居城であり、ラーグ公やゴルターナ公の覇権争いとは関わりの薄い場所でした。違和感を覚えるラムザですが、ひとまず伝言にしたがってリオファネス城に向かいます。

オーランとの再会
追っ手を退けながら進む中、ラムザたちは以前に盗賊から救ったオーランと再会します。彼が南天騎士団の団長オルランドゥ伯の養子だと聞いたラムザは、この戦争の元凶が第三者の扇動にあることを、義父に伝えて欲しいと頼みます。オルランドゥ伯は、ラムザの父である天騎士バルバネスの親友であり、信用できる人物だと考えたのでした。オーランはそれを快諾します。

ラファの救出
城塞都市ヤードーにさしかかった時、ラファという魔導士から助けを求められます。彼女を追っていたのは、ゲルモニーク聖典とアルマの取引を持ちかけた魔導士、マラークでした。どうやら彼は伝言役に過ぎず、取引の主はバリンテン大公だったようです。二人は兄妹で、意見の食い違いから争っていました。ラムザたちは襲いかかるマラークを退け、ひとまずラファを同行させます。

バリンテン大公とヴォルマルフの駆け引き
一方リオファネス城内では、バリンテン大公に呼び出されたヴォルマルフたちが会談をしていました。バリンテン大公は、ゾディアックストーンこそがこの覇権争いに最も強力なカードになると言い、教会と手を組もうと話をもちかけたのです。彼もまた、教会の暗躍を知る者でした。

聖石の真の力について言及するバリンテン大公でしたが、ヴォルマルフはあくまでしらを切ります。しかし彼は既に聖石を手に入れていました。オーボンヌ修道院でアルマを連れ出したイズルードは、マラークに捕らえられ、聖石(タウロスとスコーピオ)を奪われていたのです。ヴォルマルフは、息子の失態に怒りをあらわにします。その時、ラムザたちが城に到着したという知らせが届きます。バリンテン大公はマラークに対応を命じます。

リオファネス城の攻防戦

バリンテン大公側とは徹底抗戦の構えとなり、もはや交渉がまともに成立するとは思えません。ラムザはひとまず状況を整理しようと、ラファに事情を聞きます。ラファは、バリンテン大公もまたイヴァリースの覇権を狙う者であると言います。戦禍の拡大に繋がるとなれば、ますますゲルモニーク聖典を渡すわけにはいきません。ラムザはアルマの救出に目的を絞って進軍します。

ヴォルマルフの凶行
その頃リオファネス城内では、ヴォルマルフとバリンテン公の駆け引きが続いていました。バリンテン公は、教会不正を示すゲルモニーク聖典のを脅し文句に、強引に交渉を進めようとします。ヴォルマルフは、イズルードを捕らえた魔導士(マラーク)が聖典の所在を掴んでいると考え、ウィーグラフに追わせます。

聖石の秘密や神殿騎士団の暗躍、さらにはゲルモニーク聖典にまで手出しをしようとするバリンテン大公は危険な存在です。ヴォルマルフは聖石(レオ)の力を使い、バリンテン大公と城の騎士たちに襲いかかります。

その頃アルマは、リオファネス城の牢獄に捕らえられていました。オーボンヌ修道院から連れ去られた後、イズルードと共にマラークに捕まったためです。そこへ、ルカヴィと化したヴォルマルフから逃れようと、満身創痍の騎士が転がり込んできます。アルマに逃げるように言うと、彼はそのまま息を引き取ります。アルマは、開け放たれた扉から脱出します。

ウィーグラフとの決戦
一方、アルマ救出のため城内を進むラムザたちは、その凄惨な状況に驚きます。リオファネス城の騎士たちが、ヴォルマルフによって惨殺されていたからです。そして、その骸の中に立っていたのは、マラークを追っていたはずのウィーグラフでした。ラムザは聖石の伝説が偽りだったことを伝えますが、ウィーグラフは、弱者が望む「神の奇跡」を為政者が与えただけだと一蹴します。ウィーグラフの絶望は、力への信奉と、努力を怠る弱者への憎しみに転化されたのです。

ベリアスの力を解放したウィーグラフは、その力の正当性を示すべく、ラムザたちに襲いかかります。ベリアスは、聖石の力を弱者に等しく分け与えれば理想は実現できるといいます。そんなことは不可能だと反論するラムザですが、ベリアスは「聖石が生み出せる」ことを仄めかします。

ベリアスの言葉に、ラムザは一瞬戸惑います。しかし聖石によって力を得ることは、同時に人間であることを捨てるということです。それに、彼らが思うほど聖石の力が万能ではないことをラムザは知っていました。ラムザは自らの手で、長きにわたるウィーグラフとの因縁に幕を下ろします。


