ドラクロワ枢機卿の一件で聖石の真の力を知ったラムザたちは、教会に「異端者」に仕立て上げられてしまいました。
オーボンヌ修道院で拐われたアルマを取り戻すため、ラムザたちはゲルモニーク聖典を取引材料にリオファネス城へ向かいます。しかし、それを待ち受けていたのは、聖石の力でルカヴィとなったウィーグラフでした。長きに渡る因縁に決着をつけたラムザたちは、アルマの捜索を続けます。
聖石ヴァルゴとアルマ
牢獄を脱出したアルマは、バリンテン公たちが居た部屋で、倒れているイズルードを発見します。傷は深く、もはや助かる見込みはありませんでした。イズルードはルカヴィとなった父、ヴォルマルフに襲われたのです。聖石の真実を知ったイズルードは、ラムザが正しかったことを認め、唯一奪われずに残っていた聖石パイシーズをアルマに託します。そして、眠るように息を引き取ります。

そこへヴォルマルフが現れ、目撃者のアルマを殺そうと歩み寄ります。しかしその時、ヴォルマルフの持っていた聖石ヴァルゴが輝きます。オーボンヌ修道院から奪われ、イズルードが持っていたはずのヴァルゴは、バリンテンに奪われる前に彼の手に渡っていたのです。

聖石がアルマに反応したことに驚くと、彼女こそが「探し求めていたもの」であったことに驚きます。思わぬ収穫を得たヴォルマルフは、アルマを連れたまま姿を消します。そこには、アルマの懐からこぼれ落ちた青い聖石(パイシース)が残されていました。

バリンテン大公の最期と聖石の奇跡
ウィーグラフを退けたラムザたちは、神殿騎士団を追います。そして日も暮れた頃、単独で行動していたラファが、屋上でバリンテン公を発見します。どうやら彼は、ヴォルマルフからかろうじて逃れていたようでした。ラファは、魔導士の才能を持つ自分たちを手に入れるため、故郷を焼き払ったバリンテン公に復讐するのだと言います。

剣を構えるラファですが、バリンテンから受けた恐怖が頭をよぎり、体が思うように動きません。そこへラファの会話を耳にしたマラークが現れます。彼がその話が本当なのかと問いただすと、バリンテン公は逆上し、構えていた銃をラファに発砲します。マラークはとっさにラファを庇いますが、代わりに銃弾を受けて倒れてしまいます。

銃声を聞きつけたラムザは現場にかけつけます。その時、突然バリンテンの背後から見知らぬ女が現れ、彼を屋根の上から投げ落としてしまいます。

すると、女に続いて銀髪の男が現れます。その男は、なんとエルムドア侯爵でした。彼は獅子戦争勃発後にゴルターナ陣営から離反し、その結果戦死したというのが公の認識でした。あまりにも唐突な出来事の連続にラムザは戸惑います。ラファは、聖石を渡せというエルムドアの言葉を聞き、とっさにマラークの持っていた聖石(タウロス・スコーピオ)を懐に入れます。

ルカヴィとの戦いを二度も経験したラムザは、エルムドア侯の漂わせる異様な雰囲気が人間のものではないことに気づきます。彼は50年戦争の英雄であり、また平和と人道を重んじる人物でした。ゴルターナ公陣営から離脱したのも、戦争をやめない貴族たちに辟易していたからです。エルムドア侯もまた、現実の醜さに絶望し、ルカヴィの力に身をやつした一人でした。
エルムドア侯は、連れ去られたアルマと聖石の交換を持ちかけますが、ラムザはそれを拒否します。ラムザが聖石の力に抗う者だと理解すると、ランベリー城へ来るよう伝え、この場を去ります。

既に夜は明けつつありました。ラファは物言わぬマラークに話しかけます。深い兄妹の絆を感じたラムザは、アルマに想いを巡らせます。その時、突然ラファの懐にあるスコーピオが輝き出します。聖石が強い思いに反応すれば、その持ち主はルカヴィとなります。ラムザは危険を察知し、ラファに聖石から離れるよういいます。しかし聖石の光は、冷たくなったマラークの体を照らし、命を吹き込んだのです。

聖石は、必ずしもルカヴィを顕現させるだけではないようでした。使う側の心のありようで、毒にも薬にもなる力だったのです。戦いを終えてアルマを探すラムザは、彼女が連れ去られる際に落としていった聖石パイシースを拾います。

アルマの捜索
城内の惨状は目を覆うようなものでしたが、幸いなことに、その中にアルマの姿はありませんでした。ラファとマラークの話によると、リオファネス城へ来た神殿騎士は、ヴォルマルフ、ウィーグラフ、イズルードの三人だったようです。ウィーグラフとイズルードが倒れたとなれば、残るヴォルマルフがアルマを連れ去ったのだろうと推測します。エルムドア侯もそう言っていたとラファが裏付けします。

ヴォルマルフの動きは一連してグレバドス教会の陰謀に見えるものの、もしそうであれば、イズルードやウィーグラフが聖石の秘密を知らされていなかったのは不自然です。ラムザは教会の陰謀の裏に、一部の者たちしか知らない別の目的があると考えます。

本来ならアルマを追うところですが、わざわざ連れ去ったのは生かしておく理由があるからだろうと考え、他の目的を優先します。ランベリー城で待つというエルムドアも気掛かりですが、ひとまずオルランドゥ伯に協力を取り付けるため、ゴルターナ公の領であるゼルニテアに向かうことにします。

ラムザがゼルテニア行きを決めたのには、もう一つ理由がありました。それはディリータに会うことです。彼が教会の暗躍に加担していることは知っていましたが、公にはゼルテニアの黒羊騎士団(ゴルターナ軍の騎士団)の団長となっていたためです。ラムザは、ディリータをゴルターナ軍に潜りこませたことも、教会の陰謀だと考えます。ディリータが親教会派の騎士として活躍すれば、教会は間接的に人気を得られ、また軍事力にも影響を及ぼせるようになるためです。とはいえ、ラムザはディリータの真意を測りかねていました。

メリアドールとの戦い
オルランドゥ伯に会うためゼルテニアに向かうラムザたちを、神殿騎士団が待ち構えていました。彼女はメリアドールと名乗り、イズルードの姉だと言います。弟の死がラムザの仕業だと思い込んでいるメリアドールは、その仇をとるため、異端者のラムザを倒しにきたのです。ラムザは、彼女の父であるヴォルマルフがルカヴィであることを伝えますが、やはり信じてもらえません。しかし、教会の陰謀に異を唱えるラムザの言葉には、躊躇が見て取れました。ラムザたちはこれを退け、足を進めます。

オーランの帰還
一方ゼルテニア城では、調査から戻った養子のオーランを、オルランドゥ伯が迎えます。疲弊した戦線に頭を抱えるオルランドゥでしたが、既に教会の動きについて把握しており、それを阻止しようと独自に動いていたのです。しかし、証拠は掴めず、身動きが取れない状況でした。オーランは、ラムザが神殿騎士と対立していることや聖石の行方など、かなり詳細な情報を得ており、それを報告します。

オルランドゥが聖石の実在を知っていたのは、彼自身が聖石リーブラの持ち主だったからです。リーブラは、家に伝わる秘宝として、オルランドゥ家に代々受け継がれてきたのでした。そして、教会が聖石を追っている以上、いずれは自分にもその手が伸びると考えていたのです。

ゼルテニアを訪れたラムザは、教会で祈りを捧げていました。そこに狙い通りディリータが現れます。ラムザは、ディリータがなぜゴルターナ陣営にいるのかと質問すると、ディリータはオルランドゥ伯とゴルターナ公を暗殺するためだと答えます。
ディリータから教会の陰謀を聞くラムザ

教会は、戦争と各地の反乱を煽ることで両陣営が疲弊し、決着を急ぐことを狙っているといいます。そんな最中に両陣営の要人が同時に暗殺されれば、決着を付けられず、和平せざるを得なくなります。和平が成れば、両陣営の仲介者として教会が表舞台へ立ち、ゾディアックブレイブ伝説の後押しの元で、権威と民意を得られるというわけです。

しかし、ディリータの真の目的は、唯一の王としてオヴェリアを立てることにあると言います。そのために教会を利用しているからこそ、暗殺計画の全貌をラムザにバラしたのでした。それは同時に、教会も含めた覇権争いを認めないということであり、大筋として二人の目的は同じ方向を向いていると言えました。
自身の野心のためにオヴェリアを利用しようとしているのかと問うラムザに、ディリータは「彼女のために命を賭す覚悟」だと答えます。そのシンプルな動機を口にするディリータを、ラムザは信用することにします。

その時、教会の外からラムザを呼ぶ声が響きます。声の主は異端審問官のザルモゥでした。
親教会派のゴルターナ軍騎士として動いているディリータにとって、異端者であるラムザと居るところを見られるわけにはいきません。二人は一時的に共闘し、ザルモゥと対峙します。信仰による秩序を訴えるザルモゥですが、ディリータはその人為的な秩序が、貴族と教会による支配でしかないと反論します。ザルモゥは、何の真実も知らないまま、二人の手によって倒されます。

戦いを終えた二人の元に、ディリータの仲間であるバルマウフラが現れ、北天騎士団がベスラ要塞に進軍したことを知らせます。ラムザは衝突を阻止すべくオルランドゥ伯の説得に向かうと告げ、ディリータと握手をして別れます。

ラムザが去ると、バルマウフラは「親友すら利用するのか」とからかい、ディリータはその言葉に激昂します。沈着冷静なディリータも、ラムザを利用することには穏やかでない感情を抱いているようでした。

神殿騎士の毒散布作戦
オルランドゥ伯を追ってベスラ要塞へ向かうラムザたちは、道中のベッド砂漠で作戦中の神殿騎士バルクと遭遇します。彼らは北天騎士団の陣地に向け、毒を散布していたようでした。毒に致死性はないものの、体調不良は免れません。そうなれば戦いどころではなくなります。

バルクは、人間は必ず「搾取する側」と「される側」に二分され、それを覆すことはできないと言います。しかしラムザは、そのロジックでは闘争が繰り返されるだけで、貴族たちと変わらないと反論します。ラムザはバルクを退けますが、既に毒は北天騎士団に向けて撒かれたあとでした。

ラーグ公の暗殺
毒を散布されたラーグ公の陣営は、混乱を極めていました。ダイスダーグは、毒がモスフングスの胞子から抽出したものだと言います。毒に苦しむラーグ公に近づいたダイスダーグは、突然ナイフを取り出し、ラーグ公に突き立てます。裏切りを知ったラーグ公は、父であるバルバネスの死が、ダイスダーグの暗殺によるものであることを仄めかすと、そのまま息絶えます。

兄の凶行を目の当たりにしたザルバッグはその理由を問いますが、ダイスダーグはベオルブ家のためだと答えます。ラーグ公は勇敢に戦って戦死し、ベオルブ家に意志を継がせたとすることで、権威を担保できると言います。あまりの出来事に疑念を抱くザルバッグでしたが、もはや後には引けない状況になっていました。

オルランドゥ伯の冤罪
一方、ゴルターナ陣営では、オルランドゥ伯に謀反の容疑がかけられていました。どうやらオルランドゥ伯が教会と通じ、ゴルターナ公の失脚を目論んでいたというのです。心当たりが全くないオルランドゥ伯は、それこそが教会の陰謀だと訴えますが、ゴルターナ公は聞く耳を持ちません。オルランドゥ伯は、なすすべもなく投獄されてしまいます。

入れ替わりに入室したのは、ディリータとバルマウフラでした。教会との交渉役という立場を利用し、オルランドゥを罠にかけたのです。かつてグルワンヌ大臣を使って戦争を煽ったのと同じ手口でしたが、既に術中にハマっていたゴルターナ公は、ディリータを疑うことはありませんでした。彼が取り付けたという皇帝からの勅命は、ゴルターナ公の目をくらませるのには十分だったのです。

オルランドゥ伯を排除したディリータは、とうとう南天騎士団の指揮権を得ます。事は教会の思惑通りに進んでいるようでした。

ラムザの奇策
ベスラ要塞に到着したラムザたちは、騎士たちの話から、オルランドゥ伯に謀反の罪がかけられていることを知ります。これが教会の仕業だと理解していたラムザは、事態の収束を急ぐべく、ベスラ要塞の水門を解放することを思い付きます。戦場が水没すれば、お互いに戦いどころではなくなると考えたためです。ラムザはこれを実行します。

辺りは水没し、進軍できる状況ではなくなります。

戦闘を硬直状態に持ち込んだラムザはバルマウフラと合流し、オーランの案内でオルランドゥ伯が幽閉されている穀物倉に向かいます。オーランはラムザの機転によって戦闘が停止したことを伝えます。オルランドゥ伯は、成長したラムザの姿に、親友バルバネスの面影を見るのでした。

バルマウフラは、オルランドゥ伯の処刑が明朝に予定されていることを告げると、ベスラ要塞からの脱出を提案します。オルランドゥ伯はそれを承諾し、ラムザと行動を共にすることを申し出ます。そしてオーランには、ゼルテニアに戻ってオヴェリア王女を守るように命令します。オルランドゥは、オヴェリアこそが正統な王位後継者だと考えていたからです。

ゴルターナ公の暗殺
一方ディリータは、いよいよ暗殺作戦を実行に移します。混乱する戦況に苛立つゴルターナ公は、ディリータを呼び決戦を強行させようとします。ディリータはそれが不可能だと告げると、突然態度を豹変させます。そして、ゴルターナ公に剣を突き立てるのでした。

ディリータは、あらかじめ待機させておいたオルランドゥ伯の影武者を入室させると、これを切り伏せます。ゴルターナ公の暗殺はオルランドゥ伯の仕業であり、その後自決したと偽装するためでした。ディリータは、ラムザがオルランドゥ伯を連れ出したのも計画の一部だったことを匂わせます。

不発に終わった教会の調停
ラムザの機転により両軍は消耗戦にはならず、教会が想定していた調停は失敗します。それはつまり、ディリータの暗躍によって、すべての陣営の目論見が崩れたと言える状況でした。
最悪の事態を阻止し、オルランドゥ伯の助力を得たラムザたちは、エルムドア侯が待つというランベリー城を目指します。エルムドア侯爵は、リオファネス城で対峙した際「聖石を渡せばアルマの返還をヴォルマルフに頼んでみよう」と言っていました。それは少なくともエルムドア侯爵がヴォルマルフと近しい人物であり、アルマの居場所を知っている可能性があるということです。
アルマはヴォルマルフに連れ去られ、教会側の本丸であるミュロンドに居る可能性がありました。しかし、ヴォルマルフの思惑が教会の埒外であることは、リオファネス城の一件で見当がついていました。エルムドア侯を追うことで、教皇すら預かり知らないヴォルマルフの思惑、つまり聖石とルカヴィに関わる何かが、この事態の収束に近道だと判断したのです。


